- 2026年10月17日
健診でAST・ALT・γ-GTPが高いと言われたら?肝機能異常の原因と受診の目安を医師が解説|新橋・汐留の伊原医院
健診の結果票に並ぶ「AST・ALT・γ-GTP」。肝機能の欄に印が付いていても、何が違い、どこに相談すればよいのか分かりにくい項目です。
肝機能異常は、症状がなくても原因を確かめたいサインです。日本肝臓学会は、ALTが30 U/Lを超えたら、まずかかりつけ医への受診を勧めています。一度高かっただけで重い病気と決まるわけではありませんが、「元気だから大丈夫」と翌年まで置いておかないことが大切です。[1]
新橋・汐留の伊原医院が、検査値の読み方、脂肪肝や飲酒以外の原因、受診時に役立つ準備を解説します。

結果票を見たら、まずこの3点
- ALTが30を超える:症状がなくても内科・かかりつけ医へ相談を。
- ASTまたはALTが51以上、あるいはγ-GTが101以上:厚生労働省の健診資料では受診勧奨の区分です。
- 黄疸・強い腹痛・意識の変化:再検査の予約日を待たず、速やかに医療機関へ。
AST・ALT・γ-GTPは、何を調べている?
これらは一般に「肝機能検査」と呼ばれますが、主に肝細胞の傷みや胆汁の流れの異常を知る手がかりです。数値の高さだけで、肝臓にどれだけ働く力が残っているかまで分かるわけではありません。必要に応じて、アルブミン、ビリルビン、血液の固まりやすさなども調べます。[3・7]
AST(GOT):筋肉などの影響も受けます
ASTは肝臓のほか、筋肉や心臓などにもある酵素です。肝臓の病気で上がりますが、激しい筋力トレーニングや筋肉の障害が関係する場合もあります。採血前の運動についても診察時に伝えてください。
ALT(GPT):肝細胞の状態を知る重要な項目
ASTよりも肝臓との関係が深く、脂肪肝やウイルス性肝炎などで上昇します。軽い上昇でも、長く続いている場合には原因の確認が必要です。[1]
γ-GTP(γ-GT):高いからといって、飲酒が原因とは限りません
飲酒の影響を受けやすい項目ですが、脂肪性肝疾患、薬剤、胆汁の通り道である胆道の病気でも上がります。AST・ALTやALPなどと組み合わせて判断します。お酒を飲まない方の高値も、確認する意味があります。[3]
AST・ALT・γ-GTPは、どのくらい高ければ受診が必要?
厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」では、次の判定値が示されています。これは健診後の対応を考える基準であり、病名や重症度を確定する表ではありません。[2]
| 項目 | 保健指導判定値以上 受診勧奨判定値未満 | 受診勧奨判定値以上 |
|---|---|---|
| AST(GOT) | 31~50 | 51以上 |
| ALT(GPT) | 31~50 | 51以上 |
| γ-GT(γ-GTP) | 51~100 | 101以上 |
厚生労働省の公開資料をもとに作成。画面が狭い場合は表を左右にスクロールできます。施設によって基準範囲や判定が異なるため、結果票の指示も確認してください。
ALT 35でも相談してよい?「51になるまで待つ」は不要です
はい。日本肝臓学会の「奈良宣言2023」は、ALTが30を超えた段階での受診を呼びかけています。この基準値は、慢性肝臓病を早く見つけるための入口です。ALT 35・40で「生活改善」と書かれていても、受診して原因と再検査の時期を相談しましょう。[1]
また、AST・ALTが軽度高値だから病気も軽いとは限りません。以前の結果との変化、血小板数、画像検査なども判断材料になります。逆に一時的な上昇のこともあるため、一つの数字から肝硬変や肝がんと決めつける必要はありません。[4・7]
肝機能異常の原因は、お酒だけではありません
- 脂肪性肝疾患:体重増加や血糖・脂質などの代謝異常に伴い、肝臓に脂肪がたまる状態。
- アルコール関連肝疾患:飲酒が肝臓の負担になっている状態。代謝異常と飲酒の影響が重なることもあります。
- B型・C型肝炎など:自覚症状が乏しくても、ウイルス感染の確認が必要になることがあります。
- 薬剤性肝障害:処方薬に加え、市販薬、漢方薬、サプリメント、健康食品も確認します。
- 胆道の病気や自己免疫性の肝疾患:胆石、胆汁の流れの異常、免疫の仕組みが関係する病気なども候補になります。
「ALTが高いから脂肪肝」「γ-GTPだけだから飲酒」と結果票だけで分類することはできません。複数の原因が重なる場合もあります。[3・4・7・8]
薬・サプリメントは、商品名と飲み始めた時期を
「自然由来」「健康のための商品」であっても、肝臓に影響しないとは言い切れません。お薬手帳とともに、商品の容器や成分表示の写真、使い始めた日が分かるメモを持参すると役立ちます。処方薬は自己判断で中止せず、処方医に相談してください。服用中に黄疸、強いだるさ、食欲低下などが現れた場合は、早急に連絡・受診しましょう。[8]
「脂肪肝」と言われたら知っておきたい、MASLDと線維化
飲酒量が少なくても、肝臓に脂肪はたまります。現在は、脂肪肝に肥満・血糖・血圧・脂質などの代謝の問題を伴い、飲酒量などの条件を満たす病気をMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼びます。以前のNAFLDと多くが重なりますが、診断の枠組みも見直されています。[4・5]
日本消化器病学会・日本肝臓学会の「MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版)」では、肝臓の線維化の評価が重視されています。線維化とは、炎症の修復が繰り返され、肝臓に傷あとにあたる組織が増えて硬くなる変化です。脂肪肝がある方すべてが肝硬変になるわけではありませんが、進行しやすい方を見分けて管理する必要があります。[4・6]
その手がかりの一つが、年齢・AST・ALT・血小板数から求めるFIB-4 indexです。必要に応じて、超音波などで肝臓の硬さを調べる検査や専門医への紹介につなげます。FIB-4は診断そのものではなく、年齢などの影響も受けるため、数値だけで自己診断しないでください。[4・7]
いつ、何科を受診する?再検査では何を調べる?
まずは内科・かかりつけ医、または消化器内科に相談できます。健診で「要受診」「要精密検査」と指示された場合は、その案内に従ってください。軽い異常でも繰り返しているなら、次の年の健診を待たずに受診の予定を立てましょう。[1]
予約日を待たずに相談したい症状
白目や皮膚が黄色い、尿が普段より著しく濃い、強いだるさや食欲不振がある場合は、できるだけ早めに医療機関へ連絡してください。発熱と右上腹部の痛みが重なるときも、速やかな診察が必要です。意識がぼんやりする、呼びかけへの反応が悪い、強い腹痛で動けない場合には119番を含む救急対応を考えてください。[8・10]
症状がなくても、検査値が急上昇した、著しい高値で健診機関から連絡があった場合は、その指示に従い早急に受診します。
結果票全体と、これまでの経過を確認します
診察では、飲酒の種類・量・頻度、体重の変化、服薬、過去の肝炎検査、直前の激しい運動などを伺います。今回と過去の健診結果、お薬手帳を持参してください。
必要に応じてAST・ALT・γ-GTPを再確認し、ALP・ビリルビン・アルブミン・血小板、B型・C型肝炎の検査、血糖・HbA1c・脂質などを組み合わせます。腹部超音波で脂肪肝や胆道の異常を調べたり、専門医で詳しい検査を受けたりする場合もあります。すべての方に同じ検査を一度に行うわけではありません。[1・4・7]
肝機能を改善するために、日常生活でできること
体重だけでなく、食事と活動量を見直す
体重増加が関係する脂肪肝では、食事と運動を組み合わせた体重管理が基本です。甘い飲み物を無糖に替える、夜遅い間食の回数を減らす、通勤や昼休みに歩く時間をつくるなど、普段の生活から調整します。食事を極端に抜く方法は避け、体格や持病に合わせて減量の目標を相談しましょう。[4・5]
「何杯」より、種類・量・度数を記録する
飲酒量は、杯数だけでは比べられません。厚労省のガイドラインは、飲料に含まれる純アルコール量での把握を勧めています。例えば5%のビール500mLには約20gが含まれます。[9]
肝機能異常があるときは、原因に応じて減酒や禁酒を相談します。休肝日を設けても、別の日にまとめて多く飲めば負担は減りません。お酒を減らすと手が震える、汗が出る、強い不安がある方は、無理に一人で対処せず医療機関に相談してください。[9・11]
血糖・脂質・血圧も一緒に管理する
MASLDでは、糖尿病や脂質異常症、高血圧の管理も欠かせません。肝臓の数字だけを下げようとするより、合併する病気と生活全体を見直し、再検査で変化を確かめます。原因によって必要な治療は異なるため、「肝臓によい」とされる食品やサプリメントだけで解決しようとしないことも大切です。[4・8]
よくあるご質問
Q.ALTが35でした。症状がなくても病院へ行くべきですか?
A.内科やかかりつけ医に相談しましょう。ALT 35だけで重い病気とは言えませんが、日本肝臓学会が受診の入口として示す30を超えています。以前の数値や体重・飲酒・服薬も含めて確認します。[1]
Q.γ-GTPが100前後です。禁酒すれば再検査は不要ですか?
A.不要にはなりません。飲酒以外の原因もあり、改善したかどうかも採血で確かめる必要があります。結果票の判定とほかの項目を持参し、再検査の時期を相談してください。[2・3]
Q.やせていて、お酒も飲まないのに脂肪肝になることはありますか?
A.あります。見た目の体格や飲酒の有無だけでは判断できません。血糖・脂質などの代謝の状態や画像検査も確認します。さらに体重を落とすべきかは、診察で相談してください。[4]
Q.再検査前だけ生活を変えればよいですか?
A.一時的に数字を整えることより、高くなる原因を把握することが目的です。普段の飲酒や食事、運動について正確に伝えましょう。食事を抜く必要があるか、薬をどうするかは、検査内容によって異なるので受診先に確認してください。
新橋・汐留で肝機能異常を相談するなら、健診結果をお持ちください
「去年もALTが高かった」「お酒は飲まないのにγ-GTPに印がある」。理由が分からないままなら、結果票を一緒に見直すところから始めましょう。
伊原医院では、健診後の再検査や生活習慣病のご相談に対応しています。過去の数値や服薬・飲酒の状況を確認し、必要な検査や専門医への紹介を含め、その方に合った対応を検討します。腹部超音波などの検査についても、必要性に応じてご案内します。
当院は東京都港区東新橋1-7-1 汐留メディアタワー地下2階にあります。都営大江戸線「汐留駅」地下2階直結、JR「新橋駅」から徒歩約4分(地上ルート)です。新橋・汐留周辺にお勤めの方も、健診結果とお薬手帳をお持ちのうえご相談ください。
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お問い合わせ:03-3573-1800
関連する健診項目:LDLコレステロール150・160の受診の目安
血糖値・HbA1cの見方と受診の目安
2026年10月15日時点で確認できた公的機関・関連学会の公開情報に基づく、主に成人向けの一般的な解説です。検査値の意味や受診・治療の必要性は、症状、持病、経過によって異なります。
参考情報
- 日本肝臓学会:奈良宣言2023(ALT>30を受診のきっかけに)
- 厚生労働省:標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)添付資料・健診判定値
- 全国健康保険協会:検査項目一覧表(解説付き)
- 日本消化器病学会・日本肝臓学会:MASLD診療ガイドライン2026 英文公開論文(Journal of Gastroenterology)
- 国立健康危機管理研究機構 肝炎情報センター:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(2026年6月改訂)
- 日本消化器病学会:MASLD診療ガイドライン2026 改訂第3版の公式案内
- 肝炎情報センター:肝硬変(2026年6月改訂)
- 厚生労働省・PMDA:重篤副作用疾患別対応マニュアル「薬物性肝障害」
- 厚生労働省:健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
- 日本胆道学会:総胆管結石の内科治療(胆管炎の症状)
- 国立病院機構 久里浜医療センター:アルコール依存症について
この記事の監修者

医療法人社団優春会伊原医院 理事長
山下 理比路
- 医師/医学博士
- 日本集中治療医学会 集中治療専門医
- 日本医師会認定 産業医
- 日本内科学会 正会員
- 日本循環器学会 正会員
- 日本医師会「かかりつけ医機能報告制度にかかる研修」修了
