• 2026年9月28日

健康診断で尿酸値が高いと言われたら?痛風がなくても治療は必要?医師が解説|新橋・汐留の伊原医院

健診結果の「尿酸」の欄に赤い印がついていても、関節が痛くなければ「まだ痛風ではないから大丈夫」と考えてしまいがちです。

先に結論をお伝えすると、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症に該当しますが、その数値だけで全員がすぐ薬を始めるわけではありません。痛風発作の有無、腎機能、尿路結石、高血圧・糖尿病・肥満などを合わせて判断します。

一方で、痛みがない高尿酸血症も「何もしなくてよい」という意味ではありません。尿酸値の推移と背景を確認し、生活を整え、必要な方には薬物治療を検討します。この記事では、2026年9月時点の厚生労働省、日本痛風・尿酸核酸学会、日本腎臓学会の公開情報をもとに、健診後に知っておきたいポイントを伊原医院が分かりやすく解説します。

健診で尿酸値が高い方が痛風、食事・飲酒、腎機能について考えるイラスト
尿酸値は、痛風だけでなく食事・飲酒、体重、腎機能などと一緒に確認します。

健診で尿酸値が高いと言われたら、まず何をする?

結果票を見たら、次の3点を確認してください。

  1. 今回の尿酸値:7.0mg/dLを超えているか、8~9mg/dL以上か
  2. 以前からの変化:前年までの数値と比べて上がっていないか
  3. 尿酸以外の項目:クレアチニン・eGFR、尿蛋白、血圧、血糖、脂質、体重も確認する

初めて高値を指摘された場合は、飲酒、脱水、激しい運動、体重変化、服用中の薬などが影響していないかを確認し、必要に応じて再検査します。以前の健診結果とお薬手帳を受診時に持参すると、判断に役立ちます。


尿酸とは?「プリン体=食べ物」だけではありません

尿酸は、プリン体が分解されたあとにできる物質です。プリン体というとビールやレバーを思い浮かべるかもしれませんが、食品から入る分だけでなく、体内の細胞が入れ替わる過程でも作られます。

できた尿酸は主に腎臓から尿へ排泄されます。尿酸が高くなる仕組みは、大きく分けて次の3つです。

  • 体内で尿酸が多く作られる
  • 腎臓などから尿酸を十分に排泄できない
  • その両方が重なる

実際には、体質、体重増加、飲酒、食事、腎機能、一部の薬などが複雑に関係します。「プリン体の多い一品だけ」を探すより、生活全体と健康状態を見直す方が実用的です。


尿酸値はいくつから高い?7・8・9mg/dLの意味

日本では、男女を問わず血清尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を高尿酸血症と定義します。ただし、診断の線引きと薬を始める線引きは同じではありません。

尿酸値と対応の考え方(成人の一般的な目安)
状況 考え方
7.0mg/dL超 高尿酸血症に該当。原因や合併症を確認し、生活習慣の改善を始める
8.0mg/dL以上+合併症 腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなどがあれば、薬物治療を検討する
9.0mg/dL以上 痛風発作がなくても、生活改善に加えて薬物治療を検討する
痛風発作を繰り返す・痛風結節がある 薬物治療の対象となり、一般に血清尿酸値6.0mg/dL以下の維持を目指す

表は治療を自動的に決めるものではありません。年齢、腎機能、これまでの数値、併存疾患、薬の種類などによって方針は変わります。特にCKD(慢性腎臓病)があり、生活習慣を見直しても8.0mg/dLを超える場合は、薬物治療を個別に検討します。[3]


痛風がなくても治療は必要?

痛風発作を一度も起こしていない状態は「無症候性高尿酸血症」と呼ばれます。この場合、まず生活習慣を整えながら、尿酸値が続けて高いか、腎障害や尿路結石などがないかを確認するのが基本です。

薬で尿酸値を下げれば、症状のないすべての方の腎臓病や心血管病を確実に防げるとまでは言い切れません。日本腎臓学会のCKD診療ガイド2024も、研究結果が一致していないため、無症候性高尿酸血症への薬物治療は個別に検討するとしています。[3]

つまり、「症状がないから放置」と「7.1mg/dLだから直ちに投薬」の間に、再検査、生活改善、合併症の評価という大切な段階があります。

痛風発作はどのように起こる?

高尿酸血症が続くと、尿酸の結晶が関節の中に蓄積します。何かのきっかけで強い炎症が起こると、関節が急に赤く腫れ、触れられないほど痛むことがあります。典型的には足の親指の付け根ですが、足首や膝に起こることもあります。

発作中に尿酸値が正常に見えることもあるため、痛みの最中の数値だけで痛風を否定することはできません。急な腫れや強い痛みがある場合は、感染性関節炎など別の病気との区別も必要です。


尿酸値が上がる5つの背景

1.飲酒量が増えている

アルコールは、プリン体の有無とは別に、尿酸を作りやすくし、排泄しにくくします。「プリン体ゼロのビール」「焼酎なら大丈夫」とは限りません。種類の変更だけでなく、飲む量と回数を見直すことが大切です。[2]

2.体重増加や食べ過ぎがある

内臓脂肪の増加は、高尿酸血症、高血圧、高血糖、脂質異常症が重なる背景になります。プリン体だけを厳しく避けるより、食事全体の量、間食、夜食、アルコールを含めた総摂取エネルギーを整えます。

3.甘い飲み物をよく飲む

果糖を多く含む清涼飲料水やジュースのとり過ぎは、尿酸値上昇につながります。水分補給を甘い飲料だけに頼らず、水や無糖のお茶も選びましょう。

4.腎機能が低下している

尿酸は主に腎臓から排泄されるため、腎機能が低下すると高くなりやすくなります。尿酸値だけでなく、クレアチニン・eGFR、尿蛋白なども一緒に確認します。

5.薬の影響がある

サイアザイド系・ループ系の利尿薬など、一部の薬は尿酸値を上げることがあります。治療に必要な薬であることも多いため、自己判断で中止せず、処方薬、市販薬、サプリメントを医師に伝えてください。


今日から見直したい生活習慣

お酒は「種類」より「総量と頻度」を見る

まずは飲酒日を減らす、1回量を小さくする、水や食事を組み合わせるなど、続けられる方法を選びます。痛風発作を起こした方や数値が高い方では、より厳しい調整が必要な場合があります。

食事は一品禁止ではなく、全体の組み合わせを整える

白子、レバー、一部の干物など、プリン体を非常に多く含む食品のとり過ぎは避けます。一方、肉や魚をすべて抜く必要はありません。野菜、豆類、全粒穀類なども組み合わせ、食べ過ぎないことを重視します。

水分不足を避ける

暑い日、運動、発熱、下痢などでは脱水に注意し、こまめに水分をとります。ただし、心不全や進行した腎機能低下などで水分制限を指示されている方は、その指示を優先してください。

体重は急に落とさず、ゆるやかに調整する

肥満がある方では減量が尿酸値の改善につながることがあります。急激な減量、極端な糖質制限、断食のような方法は、かえって尿酸値を動かす場合があります。小さな変化を積み重ねましょう。

ウォーキングなどの有酸素運動を続ける

会話ができる程度のウォーキングなどが取り入れやすい運動です。普段運動していない方が突然激しい筋力運動をすると、尿酸産生や脱水の影響で一時的に数値が上がることがあります。持病がある方は運動量を相談してください。[1]


どのような場合に受診した方がよい?

  • 血清尿酸値が7.0mg/dLを超えている
  • 8~9mg/dL以上を繰り返している、または前年より大きく上昇した
  • 過去に痛風発作や痛風結節があった
  • 腎機能低下、尿蛋白、尿路結石を指摘された
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満がある
  • 利尿薬など尿酸値に影響し得る薬を使用している

突然、関節が赤く腫れて強く痛む場合は、通常の健診再検査を待たずに受診してください。発熱を伴う、広い範囲が腫れる、体調が悪い場合は、痛風以外の病気も考える必要があります。

受診時にあると役立つもの

  • 今回と過去の健診結果
  • お薬手帳、市販薬やサプリメントの情報
  • 痛みや腫れがあった時期・場所のメモや写真
  • 家庭血圧、最近の体重変化、飲酒量の記録

よくあるご質問(Q&A)

Q.尿酸値7.5mg/dLです。薬は必要ですか?

A.7.5mg/dLという数値だけで、直ちに薬が必要とは限りません。痛風発作、腎機能、尿路結石、高血圧や糖尿病などを確認し、生活改善と再検査で経過を見る場合があります。

Q.痛風になったことがなければ、放置してもよいですか?

A.放置はおすすめしません。症状がなくても、数値の推移、腎機能、尿路結石、ほかの生活習慣病を確認します。薬が不要な場合でも、生活を見直して定期的に検査する意味があります。

Q.プリン体ゼロのお酒なら飲んでも大丈夫ですか?

A.プリン体ゼロでも、アルコール自体が尿酸値を上げる方向に働きます。銘柄の表示だけで判断せず、飲酒量と頻度を見直してください。

Q.水をたくさん飲めば尿酸値は下がりますか?

A.脱水を避け、尿路結石を予防するうえで水分は大切ですが、水だけで高尿酸血症が治るわけではありません。心臓や腎臓の状態によって適量は異なります。

Q.尿酸を下げる薬は、一度始めたら一生飲みますか?

A.背景によって異なります。痛風の再発リスクや合併症を考えると継続が望ましい場合がありますが、体重、飲酒、併存疾患の変化も見ながら判断します。急に中断すると尿酸値の変動につながるため、自己判断で休薬しないでください。

Q.痛風発作中に尿酸を下げる薬を止めますか?

A.すでに尿酸降下薬を継続している場合、一般に自己判断で中止しません。発作時の薬の選択は腎機能やほかの病気で変わるため、早めに受診してください。


健診で尿酸値を指摘された方は伊原医院へご相談ください

尿酸値の診療で大切なのは、数字を一つだけ切り取らず、痛風の既往、腎機能、尿路結石、血圧・血糖・脂質、体重、薬、生活背景をつなげて見ることです。

伊原医院では、健診で「尿酸値が高い」「高尿酸血症」「要再検査」と指摘された方の再検査、生活習慣のご相談、必要に応じた薬物治療に対応しています。新橋・汐留・港区周辺でお困りの方は、健診結果とお薬手帳をお持ちのうえご相談ください。

伊原医院は、東京都港区東新橋1-7-1 汐留メディアタワー地下2階にあります。都営大江戸線「汐留駅」地下2階直結、JR「新橋駅」から徒歩約4分(地上ルート)です。

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本記事は、2026年9月28日時点で確認できる厚生労働省、日本痛風・尿酸核酸学会、日本腎臓学会の公開情報を踏まえて作成しています。成人の一般的な健診後の対応を説明するもので、個々の診断・治療方針は診察と検査により異なります。

参考情報

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症」(2024年7月5日更新)
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールと高尿酸血症・痛風」
  3. 日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」第5章 高尿酸血症
  4. 痛風・尿酸財団「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」
  5. 日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]」

この記事の監修者

山下 理比路

医療法人社団優春会伊原医院 理事長
山下 理比路

  • 医師/医学博士
  • 日本集中治療医学会 集中治療専門医
  • 日本医師会認定 産業医
  • 日本内科学会 正会員
  • 日本循環器学会 正会員
  • 日本医師会「かかりつけ医機能報告制度にかかる研修」修了

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