- 2026年10月15日
インフルエンザワクチンを打っても感染する?それでも接種する意味とは?|新橋・汐留の伊原医院
予防接種を受けたのに、インフルエンザの検査が陽性になった。その経験から、翌年の接種を迷う方もいらっしゃいます。費用も時間もかけたのに、と感じるのは自然なことです。
インフルエンザワクチンを接種しても、感染・発症することはあります。それでも接種する意味は、発症する可能性を下げ、肺炎による入院などの重い経過を減らすことにあります。
この記事では、2026年10月15日時点で確認できる厚生労働省・関連学会の公開資料と研究をもとに、予防効果の数字、発熱や発熱期間、インフルエンザ肺炎を減らす効果を中心に説明します。主に注射の不活化ワクチンを念頭に置き、研究対象やワクチンの種類が異なる場合は区別します。

- よく見る「有効率40~60%」は、条件が合うシーズンのインフルエンザによる受診を減らす効果の目安です。感染を完全に防ぐ割合ではありません。
- 接種後に発症した小児でも、発熱しにくかったり、熱の続く期間が短かったりした研究があります。
- インフルエンザ関連肺炎や、それによる入院を減らす効果も報告されています。
目次
接種しても感染するのはなぜ?
何%予防できる?数字の読み方
発熱・罹患期間はどう変わる?
インフルエンザ肺炎を減らす効果
接種の意味が特に大きい方・接種時の注意
よくあるご質問
新橋・汐留での予防接種のご案内
インフルエンザワクチンを打っても感染するのはなぜ?
日常会話では「感染した」と「発症した」を同じ意味で使いがちですが、ワクチンの効果を考えるときは区別すると分かりやすくなります。
- 感染:体内に入ったウイルスが細胞で増えること。
- 発症:発熱、せき、のどの痛み、だるさなどの症状が現れること。
- 重症化:肺炎や呼吸不全などを起こし、入院・集中治療が必要になるような経過。
厚生労働省は、現行のワクチンは感染を完全には抑えない一方、発病や重症化を防ぐ一定の効果があると説明しています。接種の有無だけで結果が決まるものではなく、流行するウイルスとワクチンの株の違い、接種からの時間、年齢や免疫の状態も影響します。[1、3]
接種してから免疫が十分に働くまでには一般に約2週間かかるため、その前に感染することもあります。また、時間の経過とともに予防効果は低下します。接種後に一度かかったという経験だけでは、ワクチンの効果全体を判断できません。
インフルエンザを何%予防できる?「有効率」の読み方
40~60%は、すべての感染を防ぐ数字ではありません
米国CDCは、ワクチン株と流行株がよく似ているシーズンには、インフルエンザで医療機関を受診するリスクを40~60%低下させると説明しています。[3]
日本の2025/26シーズンを調べ、2026年に公表された16病院の小児研究では、不活化ワクチンのA型インフルエンザに対する有効率は43%(95%信頼区間15~62%)と推定されました。[4]
「50%有効」なら、接種した半分の人がかからない?
有効率は、未接種の人と比べてリスクが相対的にどれだけ下がるかを表します。考え方を説明するため、同じ条件の100人ずつを比べる例を見てみましょう。
| 条件 | 発症する人数 |
|---|---|
| 接種しない100人 | 10人 |
| 接種した100人 | 5人 |
この場合、リスクは10%から5%へ下がり、有効率は50%です。差は5パーセントポイントで、接種した人の中にも発症者はいます。もともとの流行規模や接触機会が変われば、予防できる人数も変わります。
ワクチンを打つと発熱や罹患期間はどう変わる?
ワクチンには、発症を減らすだけでなく、かかった場合の発熱を軽くする可能性もあります。小児を対象とした研究から、具体的な数字を見てみましょう。
発熱しにくくなることを示す報告はあります
2021年のレビューでは、感染が確認された小児の4研究をまとめると、接種者の「発熱するオッズ」は未接種者より45%低い結果でした(オッズ比0.55、95%信頼区間0.42~0.71)。オッズは確率そのものとは異なる統計指標で、体温が45%下がる、発熱日数が45%短くなる、という意味ではありません。[5]
発熱期間が平均約0.44日短かった研究もあります
| 研究対象 | 接種者と未接種者の比較 |
|---|---|
| 中国・深圳の生後6か月~6歳、388人 2026年公表 |
平均最高体温:38.81℃と39.03℃ 平均発熱期間:2.01日と2.45日 接種者で約0.22℃低く、約0.44日短い結果。[6] |
この研究では、接種した小児のほうが平均最高体温は約0.22℃低く、発熱期間は約0.44日短い結果でした。ここでいう「発熱期間」は、熱が続いた日数です。
インフルエンザ肺炎は、ワクチンでどれくらい減る?
インフルエンザは、ときに肺炎を伴い、入院が必要になることがあります。ワクチン接種には、こうした重い経過を減らす効果も報告されています。
肺炎に対する有効率は、研究の統合で51%
2025年に公表された系統的レビュー・メタ解析では、インフルエンザ関連肺炎に対する統合有効率は51%(95%信頼区間36~63%)でした。[7]
また、米国の2015/16~2017/18シーズンの成人を調べた研究では、画像検査とウイルス検査で確認されたインフルエンザ関連肺炎による入院に対する有効率は38%(95%信頼区間17~53%)でした。[8]
いずれも、インフルエンザに関連した肺炎や入院という結果を減らす効果です。すでに感染した人だけを比べて、肺炎になる割合が半分になるという数字ではありません。「かからないため」に加えて、「肺炎で入院するリスクを下げるため」という視点も、接種を考えるうえで役立ちます。
脳症についての報告
CDCの2024/25シーズンの小児インフルエンザ関連脳症・脳炎の報告では、接種対象で接種状況が確認できた患者のうち、そのシーズンにワクチン接種済みだったのは16%(93人中15人)でした。これは患者の内訳であり、ワクチンによる脳症の予防率を示す数字ではありません。[9]
接種する意味が大きいのは、どのような方?
発症を一度も許さないことだけを目標にすると、ワクチンの価値を見落としてしまいます。入院が必要なほど悪化する可能性を下げることも、生活や健康を守るうえで大切な効果です。日本感染症学会は、2026/27シーズンも接種を強く推奨しています。[2]
特に高齢の方、幼いお子さん、妊娠中の方、心臓・呼吸器などの持病や糖尿病、免疫機能に関わる病気・治療がある方は、重症化のリスクを踏まえて相談しましょう。施設で暮らす方やその介護者、医療従事者なども、予防を考えることが重要です。[2、3]
接種する時期・回数は、年齢と体調に合わせます
通常の成人では、毎シーズン1回の接種を基本に考えます。13歳未満の注射の不活化ワクチンは原則2回です。経鼻ワクチンは対象年齢や接種回数、注意事項が異なります。お子さんや持病のある方は、使用する製剤を確認してください。[1、10]
明らかな発熱や重い急性疾患があるとき、接種するワクチンの成分によるアナフィラキシーの既往があるときなどは、接種できない場合があります。注射部位の痛み・赤み・腫れ、発熱やだるさなどの副反応もあり、まれに強いアレルギー反応が起こります。過去の接種後の反応や治療中の病気を事前にお伝えください。[1]
接種時期について詳しくは、「インフルエンザ予防接種はいつ受ける?9月接種の注意点は?」もご覧ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q.昨年は打ったのにかかりました。今年も受ける意味はありますか?
A.あります。昨年の一度の発症だけでは、予防効果や重症化を減らす効果は判断できません。流行するウイルスや免疫の状態も変わるため、そのシーズンの接種を検討します。過去に強い副反応があった場合は、先に医師へ相談してください。
Q.ワクチンでインフルエンザにかかることはありますか?
A.注射の不活化ワクチンには、増殖できるインフルエンザウイルスは含まれず、接種そのものからインフルエンザを発症することはありません。接種後の発熱は副反応のほか、接種前後にかかった感染症などでも起こります。経鼻の弱毒生ワクチンは仕組みが異なります。[1]
新橋・汐留でインフルエンザ予防接種をお考えの方へ
接種を考えるときは、「かかるか、かからないか」だけでなく、年齢や持病、仕事や家庭での接触機会、重くなった場合の負担も一緒に見ていきます。以前接種しても発症した方や、副反応が心配な方もご相談ください。
伊原医院は、東京都港区東新橋1-7-1 汐留メディアタワー地下2階の内科・循環器内科です。都営大江戸線「汐留駅」地下2階直結、JR「新橋駅」から徒歩約4分(地上ルート)です。
- インフルエンザ予防接種:4,000円(税込・自費接種)
- 予約なしでも接種可能
- 予防接種の受付:診療日の13時~18時30分
上記は当院の2026年シーズンの案内に基づきます。助成を利用する方は、自治体の対象条件・有効期間をご確認のうえ、予診票をお持ちください。お問い合わせ:03-3573-1800。
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本記事は2026年10月15日時点の公開情報に基づく一般的な説明です。研究の実施年・対象・製剤はそれぞれ異なり、日本の2026/27シーズンに同じ効果が出ることを保証するものではありません。接種の可否は個別に判断します。
参考情報
- 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」Q&A(2025年12月19日版)
- 日本感染症学会「2026/27シーズンに向けたインフルエンザワクチン接種に関する考え方とトピックス」(2026年9月18日)
- CDC「Benefits of Flu Vaccination」:発症・受診と重症化を防ぐ効果
- Shinjoh M, et al. 日本の小児における2025/26シーズンのワクチン有効性. Vaccine. 2026;88:128869.
- Ferdinands JM, et al. 接種後に感染した人の重症度に関するレビュー. Vaccine. 2021;39:3678–3695.
- The impact of influenza vaccination on the clinical severity of influenza among children aged 6 months to 6 years living in the community: a prospective cohort study. Clin Exp Vaccine Res. 2026;15:e19.
- Yegorov S, et al. 重症インフルエンザ予防の系統的レビュー・メタ解析(2025年オンライン公表)
- Vaccine Effectiveness Against Acute Respiratory Illness Hospitalizations for Influenza-Associated Pneumonia During the 2015–2016 to 2017–2018 Seasons. Clin Infect Dis. 2022;74:1329–1337.
- CDC「Pediatric Influenza-Associated Encephalopathy and Acute Necrotizing Encephalopathy — United States, 2024–25 Influenza Season」(2025年)
- 日本小児科学会「推奨する予防接種スケジュール 2026年4月1日版」
この記事の監修者

医療法人社団優春会伊原医院 理事長
山下 理比路
- 医師/医学博士
- 日本集中治療医学会 集中治療専門医
- 日本医師会認定 産業医
- 日本内科学会 正会員
- 日本循環器学会 正会員
- 日本医師会「かかりつけ医機能報告制度にかかる研修」修了
