• 2026年10月18日

健康診断で心電図の異常を指摘されたら?気を付けるべき症状や受診の基準を医師が解説|新橋・汐留の伊原医院

「不完全右脚ブロック」「期外収縮」「ST-T異常」——健診結果に見慣れない言葉があると、心臓に何か起きているのかと気になるものです。

心電図の異常には、経過を見てよいものから、症状がなくても詳しい検査が必要なものまであります。まず確認したいのは、所見の名前だけでなく、結果票の判定・受診指示と、胸痛や動悸などの症状です。新橋・汐留の伊原医院が、成人の健診で見かける主な所見と、受診の考え方を解説します。

心電計から出る記録用紙と心臓模型を描いた、健診の心電図検査をイメージした水彩イラスト
心電図は、心臓の電気的な活動を記録する検査です。

結果票を開いたら

  • 「要精密検査」「要受診」なら、無症状でも受診の予定を立てる。
  • 動悸・胸痛・息切れ・失神があれば、「経過観察」の判定でも相談する。
  • 強い胸の痛み、急な呼吸困難、意識の異常があるときは、健診の再検査を待たず119番。

心電図異常を指摘されたら、いつ受診すればよい?

同じ所見でも、以前からあるのか、初めて出たのか、症状や持病があるのかで対応は変わります。A・B・C・Dなどの文字だけで判断せず、結果票に書かれた説明を確認してください。判定の表し方や再検査の時期には施設差があります。[1]

受診の優先度を考えるための目安
状況対応の目安
突然の強い胸・背中の痛み、胸の圧迫感が続く、急な強い息苦しさ、意識がおかしい119番で救急要請。冷や汗や吐き気を伴う胸痛も注意が必要です。自分で車を運転しないでください。
新しい動悸が続く、動悸にめまい・息切れを伴う、失神した、胸痛を繰り返す当日中を目安に医療機関へ連絡。症状が強い・悪化している場合は救急対応を優先します。失神から回復していても確認が必要です。
症状はないが「要受診」「要精密検査」、または健診機関から早急な受診の連絡があった指示された時期に受診。期限の記載がなければ、結果を受け取った段階で受診先に連絡し、所見を伝えて時期を相談します。
無症状で「経過観察」、すでに詳しい検査を受けている指定された間隔で確認します。新しい症状や所見の変化があれば、次の健診を待たず相談してください。

公的機関・学会の情報をもとに、一般の方が行動を選ぶために整理した表です。[1・2・3]

胸痛の原因には心臓以外の病気もありますが、ご自身で見分けるのは困難です。「健診では大丈夫だった」「痛みがまだ短時間だから」と救急要請を遅らせないでください。[2・4]


健康診断で見かける主な心電図所見

心電図は脈の速さや規則性、電気の伝わり方などを調べます。ここでは健診で比較的よく見かける所見を挙げます。

期外収縮(上室期外収縮・心室期外収縮)

通常のタイミングより早く拍動が起こる不整脈です。「脈が飛ぶ」「一瞬ドキンとする」と感じることも、全く気付かないこともあります。少数で心臓の病気を伴わない場合には、治療せず経過を見ることがあります。一方、頻繁に出る、連続する、症状が強い場合は、回数や背景にある病気の確認が必要です。[5・3]

洞性徐脈・洞性頻脈

心臓の通常のリズムで、脈が遅い状態・速い状態です。運動習慣のある方の徐脈や、緊張・発熱などによる頻脈もあります。脈拍数だけで危険かどうかは決まりません。安静でも速い状態が続く、遅い脈にふらつきや息切れを伴う場合は、薬の影響やほかの原因も含めて調べます。[5・3]

不完全右脚ブロック・完全右脚ブロック

心臓の右側へ電気が伝わる際の遅れを示す所見です。「完全」という言葉があっても、直ちに心臓が止まるという意味ではありません。心臓に病気がなく、経過観察になる方もいます。ただし、初めて指摘された場合や、失神・息切れなどがある場合には評価が必要です。左脚ブロックは右脚ブロックと同じ扱いにせず、心臓の病気がないか確認します。[5]

左室高電位・左室肥大の疑い

左心室に関係する波形が大きいなどの所見です。心電図だけで、実際に心臓の筋肉が厚くなっていると確定できるわけではありません。血圧や心エコーの結果と合わせて判断します。高血圧や心筋症などが関係することもあるため、指示された再検査を受けましょう。[1・6]

ST-T変化・ST低下・陰性T波

心臓の電気活動のうち、次の拍動に備える過程に変化が見られる所見です。心筋への血流不足、高血圧、心筋の肥大など、背景はさまざまです。「ST-T異常=狭心症」とは断定できませんが、症状や過去の波形との比較が欠かせません。胸痛があるときは上の受診の目安に従ってください。[1・4]


心房細動など、症状がなくても確認したい異常

心房細動・心房粗動

心房の電気活動が乱れる不整脈です。動悸がなく、健診が発見のきっかけになることもあります。心房細動は心臓内に血栓ができて脳梗塞につながることがあり、「何も感じないから放置してよい」とは言えません。心房粗動も含め、循環器内科で治療と脳梗塞予防の必要性を相談してください。血栓を防ぐ薬が必要かは、年齢・持病・出血リスクなどを踏まえて判断します。[7・11]

房室ブロック、WPW型、QT延長、ブルガダ型心電図

これらは、すべてが同じ危険度というわけではありません。房室ブロックは心房から心室への電気の伝達に関する異常で、程度によって対応が大きく異なります。「高度」「完全」などの記載や早急な受診指示があれば、その指示を優先してください。[3]

WPW型、QT延長、ブルガダ型などは、症状がなくても専門的な評価が必要になる所見です。特に失神の経験や、血縁者が若い年齢で突然亡くなったことがあれば伝えてください。2026年改訂の遺伝性不整脈ガイドラインでも、QT延長・ブルガダ型が健診で見つかった場合の評価が示されています。所見名だけで病気を確定せず、心電図の再確認、服薬、家族歴などを調べます。[3・8]


動悸・胸痛・息切れは、どう伝えるとよい?

診察のときに症状が治まっていても、次のような情報が手がかりになります。

  • 動悸:突然始まるか、何分続くか、脈が速いのか飛ぶ感じなのか、めまいを伴うか。
  • 胸痛・圧迫感:歩行や階段で起きるか、安静時にも出るか、背中・肩・あごにも広がるか。
  • 息切れ:以前は平気だった道で息が上がるか、横になると苦しいか、足のむくみもあるか。
  • 失神:運動中だったか、前触れがあったか、周囲から見てどのような状態だったか。

スマートフォンのメモに「日時・していたこと・続いた時間」を残すと説明しやすくなります。ただし、強い症状があるときは記録より受診を優先してください。胸痛や息切れは不整脈以外でも起こり、心電図所見との関係を診察で確かめます。[3・4・9]


心電図の再検査では、何を調べる?

最初に、健診の波形と過去の記録、症状、血圧、服薬などを確認します。自動解析に印字された診断名も、医師が波形を見て判断します。[1]

  • 12誘導心電図:その時点のリズムや波形を再確認します。
  • ホルター心電図:日常生活中に長時間記録し、短い検査では捉えにくい不整脈を調べます。
  • 心エコー:心臓の動き、筋肉の厚さ、弁などを確認します。
  • 血液検査や追加検査:症状に応じて貧血・電解質・甲状腺などを調べ、必要なら専門施設で負荷検査や画像検査を検討します。

すべての検査が全員に必要なわけではなく、症状の頻度や疑われる病気に合わせて選びます。[3・10]

持参すると役立つもの:今回と過去の健診結果、心電図の波形のコピー(入手できる場合)、紹介状、お薬手帳、症状のメモ。


よくあるご質問

Q.「経過観察」なら、受診しなくてよいですか?

A.無症状で医師から経過観察と判断された場合は、指定された間隔で確認します。ただし、新しい動悸や胸痛がある、失神したなどの変化があれば、判定とは別に相談してください。

Q.再検査で心電図が正常なら、動悸は気のせいですか?

A.そうとは限りません。発作的な不整脈は、記録していない時間に出ることがあります。症状が続く場合は、長時間の記録などが必要か相談します。[3]

Q.運動や仕事は続けてもよいですか?

A.所見だけで一律に制限するものではありませんが、症状や病気によって異なります。胸痛・失神・強い動悸があるときは無理をせず受診を優先し、運動の程度や仕事への影響を医師と相談してください。

Q.毎年同じ異常なら、問題ありませんか?

A.変化がないことは判断材料の一つですが、安全を保証するものではありません。以前の精密検査の内容と、その後の症状・持病の変化も確認します。結果票を保管しておくと比較に役立ちます。


新橋・汐留で、健診後の心電図異常をご相談ください

「どこを受診すればよいか分からない」という場合は、循環器内科が相談先になります。伊原医院では、健康診断で指摘された心電図異常の二次検査や、不整脈・胸部症状のご相談に対応しています。

当院では心電図、ホルター心電図、超音波検査をご案内しています。超音波検査は予約制です。必要な検査や日程は診察で確認し、より高度な検査・治療が必要な場合は連携医療機関へ紹介します。

所在地は東京都港区東新橋1-7-1 汐留メディアタワー地下2階。都営大江戸線「汐留駅」地下2階直結、JR「新橋駅」から徒歩約4分(地上ルート)です。健診結果をお持ちのうえご相談ください。

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お問い合わせ:03-3573-1800

関連する記事:健診で血圧が高いと言われたら?高血圧の症状・原因・治療

2026年10月17日時点で確認できた公的機関・関連学会の公開情報に基づく、成人の健診後の対応についての一般的な解説です。個別の診断・受診時期は、実際の波形や症状を踏まえて判断します。

参考情報

  1. 日本人間ドック・予防医療学会:標準12誘導心電図検診判定マニュアル(2023年度版・2023年5月追記)(2026年10月時点の学会掲載版)
  2. 政府広報オンライン:もしものときの救急車の利用法
  3. 日本循環器学会・日本不整脈心電学会:2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン(英文公開版)
  4. 厚生労働省:狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)
  5. 国立循環器病研究センター:不整脈
  6. 日本心臓財団:心筋症
  7. 日本不整脈心電学会:心房細動とは?
  8. 日本循環器学会ほか:2026年改訂版 遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン
  9. 厚生労働省:事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(心疾患に関する留意事項)
  10. 国立循環器病研究センター:不整脈科の対象疾患・治療法
  11. 日本循環器学会・日本不整脈心電学会:2024年フォーカスアップデート版 不整脈治療

この記事の監修者

山下 理比路

医療法人社団優春会伊原医院 理事長
山下 理比路

  • 医師/医学博士
  • 日本集中治療医学会 集中治療専門医
  • 日本医師会認定 産業医
  • 日本内科学会 正会員
  • 日本循環器学会 正会員
  • 日本医師会「かかりつけ医機能報告制度にかかる研修」修了

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