- 2026年9月21日
腎臓を守る生活習慣とは?腎機能の見方や注意点を医師が解説|新橋・汐留の伊原医院
健康診断の結果に「クレアチニン高値」「eGFR低値」「腎機能低下」と書かれていて、「腎臓の病気なのだろうか」「食事や水分はどうすればよいのだろう」と不安になっていませんか。
健診で一度eGFRが低かっただけで、慢性腎臓病(CKD)と確定するわけではありません。ただし、症状がないことを理由に放置せず、過去の検査結果と尿検査を合わせて確認することが大切です。
腎臓を守る生活習慣の基本は、血圧・血糖の管理、減塩、無理のない運動、禁煙です。一方、水を大量に飲むことや、自己判断で食事を厳しく制限することが、腎臓のためになるとは限りません。
この記事では、新橋・汐留の伊原医院が、クレアチニンとeGFRの見方、再検査・受診の目安、今日から取り入れられる生活の工夫を解説します。

クレアチニンとeGFRは何が違う?
腎臓には、血液をろ過して老廃物や余分な水分・塩分を尿へ排出する役割があります。その働きを調べる代表的な指標が、クレアチニンとeGFRです。
クレアチニンは、筋肉量にも左右される血液検査
クレアチニン(Cr)は筋肉で作られる老廃物の一つで、主に腎臓から排泄されます。腎臓のろ過する力が低下すると血液中に残りやすくなり、数値が上がります。
ただし、筋肉が多い方では腎機能が保たれていても高めになることがあり、筋肉が少ない高齢者などでは、腎機能が低下していても数値が目立って上がらないことがあります。「基準範囲内だから腎臓は必ず正常」「少し高いから腎不全」と、クレアチニンだけで判断することはできません。基準範囲は健診結果票に記載された値を確認します。
eGFRは、腎臓のろ過する力を推定した値
eGFRは「推算糸球体濾過量(すいさんしきゅうたいろかりょう)」の略です。日本の成人では、通常、血清クレアチニン・年齢・性別から計算します。一般に低いほど腎臓のろ過機能が低下している可能性がありますが、あくまで推定値です。
健診でよく使われる単位はmL/分/1.73m²で、標準的な体の大きさに換算して示しています。eGFRが「58」でも、「腎臓が58%しか働いていない」という意味ではありません。
| 検査 | 何が分かる? | 見方の注意点 |
|---|---|---|
| クレアチニン(Cr) | 血液中の老廃物の濃度。腎機能低下で高くなりやすい | 筋肉量、食事、運動、脱水、薬などの影響も受ける |
| eGFR | 腎臓が血液をろ過する力の推定値 | クレアチニンから計算するため、筋肉量などによるずれが残る。過去からの変化も確認する |
| 尿蛋白・尿アルブミン | 血液中のたんぱく質が尿へ漏れていないか | eGFRが保たれていても異常が出る場合がある。必要に応じ、尿中の量を詳しく測る |
eGFRの数値はどう見ればよい?
eGFRによる腎機能の区分は、次のとおりです。この表だけでCKDの有無や、将来透析が必要になるかが決まるわけではありません。
| 区分 | eGFR(mL/分/1.73m²) | 腎機能の目安 |
|---|---|---|
| G1 | 90以上 | 正常または高値 |
| G2 | 60以上90未満 | 正常または軽度低下 |
| G3a | 45以上60未満 | 軽度~中等度低下 |
| G3b | 30以上45未満 | 中等度~高度低下 |
| G4 | 15以上30未満 | 高度低下 |
| G5 | 15未満 | 高度低下~末期腎不全 |
G1・G2では、蛋白尿などの腎障害を示す所見がなければ、eGFRの数値だけでCKDとは診断しません。また、G5でも透析を始める時期は数値だけでは決めず、症状や全身の状態を含めて専門医が判断します。[2]
同じeGFRでも、尿検査と「変化の速さ」で意味が変わります
例えば、eGFRが58で数年間ほぼ変わらず尿蛋白も陰性の方と、短期間で80から58へ低下した方では、確認すべきことや対応の急ぎ方が異なります。これは見方を説明する例であり、前者なら受診不要という意味ではありません。
CKDの重症度は、原因となる病気、eGFR、尿蛋白・尿アルブミンを組み合わせて評価します。今回の結果票だけでなく、前年以前の健診結果も持参していただくと、判断に役立ちます。[2]
慢性腎臓病(CKD)とは?1回の異常では決まらない理由
CKDは、次のいずれか、または両方が3か月を超えて持続する状態です。
- eGFRが60mL/分/1.73m²未満
- 蛋白尿・アルブミン尿、画像検査の異常など、腎臓の障害を示す所見がある
そのため、初めての健診でeGFRが58だったとしても、その1回だけでは慢性の病気と確定できません。反対に、eGFRが60以上でも、腎障害を示す所見が持続していればCKDに該当します。[1]
「3か月を超えて持続する」という定義は、異常が出ても3か月間受診せず待ってよい、という意味ではありません。急性腎障害など早い対応が必要な病気もあるため、再検査の時期は数値や症状に応じて判断します。[8]
一時的な変動と、実際の腎機能低下の両方に注意
クレアチニンやeGFRは、発熱・下痢・暑さによる脱水、激しい運動、食事、一部の薬剤などの影響を受けます。ただし、脱水や薬によって実際に腎臓の働きが急に悪くなる場合もあります。「一時的なものだろう」と自己判断せず、検査前後の体調、飲んでいる薬・サプリメントを医師に伝えてください。
腎機能が低下する原因は?症状がなくても確認が必要です
主な原因には、高血圧、糖尿病、糸球体腎炎などの腎疾患、遺伝性の病気、一部の薬による腎障害などがあります。加齢に伴ってeGFRが低下することもありますが、年齢だけで問題ないとは判断できません。
特に高血圧と糖尿病は、腎臓を守るうえで重要な管理項目です。高い血圧が腎臓に負担をかけ、腎機能の低下がさらに血圧を上げるという悪循環につながることがあります。
CKDは、初期には自覚症状がほとんどないことが少なくありません。進行すると、むくみ、だるさ、食欲低下、息切れ、貧血などが現れることがあります。夜間の排尿回数が増えることもありますが、これらの症状だけで腎臓病とは決められません。症状が出るのを待たず、健診での異常を確認しましょう。[5・6]
腎臓を守るために、毎日の生活でできること
1.血圧と血糖を管理する
高血圧や糖尿病の治療は、腎機能の低下を防ぐための大切な土台です。家庭血圧を記録し、通院時に見せる習慣も役立ちます。
日本腎臓学会の2026年6月のステートメントでは、CKD患者の降圧目標を原則として診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満としています。ただし、腎機能、年齢、体力、めまい・ふらつきの有無などに応じて個別に調整します。目標に近づけるために、ご自身で薬を増減することは避けてください。[3]
糖尿病がある方は、血糖・HbA1cだけでなく尿アルブミンも確認します。治療目標や薬は、低血糖のリスクや腎機能を踏まえて選びます。生活習慣の改善と、必要な薬物治療を組み合わせることが大切です。
2.塩分を減らすために、食べ方を少し変える
CKDの食事療法では、食塩摂取量は1日6g未満が基本的な目安です。食事量や栄養状態も確認し、無理なく続けられる方法を考えます。[1・7]
- 麺類の汁を飲み干さず、汁物の回数や量を調整する
- しょうゆやソースは料理にかけず、小皿に出して少量つける
- 弁当や加工食品は、栄養成分表示の「食塩相当量」を見て選ぶ
- 漬物や加工肉を重ねて食べる習慣を見直し、香辛料や酢なども活用する
新橋・汐留で働き、外食やコンビニを利用することが多い方も、まずは「汁を残す」「調味料を足す前に味をみる」など、一つずつ取り入れてみてください。
3.無理のない運動を続け、体重と筋力を保つ
体調が安定している方は、ウォーキングなど続けられる運動を取り入れ、長時間座りっぱなしになることを減らしましょう。国際的なCKDガイドラインでは、体力や心臓・血管の状態が許す範囲で、中等度の運動を週150分程度行うことを勧めています。最初からその時間を達成する必要はなく、短い散歩からでも構いません。[8]
肥満がある場合は体重管理が役立ちますが、急な減量や食事の抜き過ぎは筋肉量の低下につながります。進行した腎臓病や心臓病がある方、運動中に胸痛・強い息切れが出る方は、運動量を医師に相談してください。喫煙している方は禁煙にも取り組みましょう。
4.脱水を避ける。ただし、水を大量に飲めばよいわけではありません
暑い日や発熱・下痢のときは、普段より脱水に注意が必要です。一方、水分を無理にたくさん飲んでも、腎機能が良くなると証明されているわけではありません。心不全、強いむくみ、進行した腎機能低下などがある方では、水分量の調整が必要になることもあります。
「誰でも毎日○L」と一律に決めず、持病や発汗量などに合わせて相談しましょう。食事や水分が十分とれない、吐く・下痢が続く場合は、薬の扱いも含めて早めに医療機関へ連絡してください。[2・7]
5.たんぱく質・カリウムを自己流で制限しない
腎機能が低いと言われても、肉・魚・卵・大豆製品や野菜・果物を、まとめて避ける必要があるとは限りません。たんぱく質の適量はCKDの進行度、体格、栄養状態などで変わり、制限し過ぎると低栄養や筋力低下につながります。
カリウムの制限も、血液検査の値や服薬状況を踏まえて判断します。減塩を目的とする商品でもカリウムを多く含むものがあるため、高カリウム血症がある方などは使用前に確認しましょう。食事制限が必要な場合は、医師や管理栄養士と一緒に進めます。[7]
6.市販薬・サプリメントも確認する
ロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、痛み止めやかぜ薬に含まれ、腎機能の低下や脱水があるときには特に注意が必要です。市販薬を繰り返し使う前に、医師・薬剤師へ相談してください。
「腎臓によい」と宣伝されるサプリメントや、プロテイン・クレアチンなども、使用していることを医師に伝えましょう。処方薬には腎臓を守る目的で使うものもあるため、数値の変化だけを見て自己判断で中止しないことが大切です。[7・8]
どのくらいの数値なら受診した方がよい?
まず、健診結果に「要再検査」「要受診」と記載されている場合は、結果票を持って医療機関へご相談ください。日本腎臓学会が示す健診からの受診勧奨の目安には、次のものがあります。[2]
- 尿蛋白が1+以上
- 尿蛋白±が2年連続
- eGFRが45mL/分/1.73m²未満
- 40歳未満では、eGFRが60mL/分/1.73m²未満
これらに当てはまらなくても、前年より数値が大きく変わった、尿潜血も陽性だった、高血圧や糖尿病がある、といった場合は確認が必要です。
腎臓専門医への紹介を検討する場合
eGFRが45未満の場合、蛋白尿が多い場合、蛋白尿と血尿が両方ある場合などは、年齢や検査結果の組み合わせに応じて専門医への紹介を検討します。3か月以内に腎機能が30%以上悪化した場合は、速やかな紹介の目安とされています。[4]
尿が急に少なくなった、息苦しい、急にむくみが強くなった、水分がとれないといった場合は、通常の再検査日を待たずに受診してください。強い呼吸困難や意識の異常がある場合は、救急要請を含めた対応が必要です。[7]
再検査では何を調べる?
最初に、これまでの検査値、体調の変化、血圧、持病、服用中の薬を確認します。そのうえで、必要に応じて次の検査を組み合わせます。
- 血清クレアチニン・eGFRの再検査
- 尿蛋白・尿潜血、尿蛋白/クレアチニン比
- 糖尿病がある方などでは、尿アルブミン/クレアチニン比
- カリウムなどの電解質、血糖・HbA1c、血算など
よくあるご質問(Q&A)
Q.eGFRが58でした。慢性腎臓病ですか?
A.初めての1回の結果だけでは確定しません。eGFR 60未満や、腎障害を示す所見が3か月を超えて持続しているかを確認します。過去の結果と尿検査も確認し、再検査の時期を相談してください。3か月間何もせず待つという意味ではありません。
Q.クレアチニンが正常範囲なら安心ですか?
A.クレアチニンだけでは判断できません。筋肉量が少ない方では、腎機能が低下していても数値が高くなりにくいためです。eGFR、尿蛋白、以前からの変化を合わせて確認します。
Q.eGFRは年齢とともに下がりますか?
A.加齢に伴い低下する傾向があり、eGFRの計算にも年齢が使われます。ただし、低下の程度や速さ、蛋白尿の有無によって対応が変わるため、「年齢のせい」と決めつけないことが大切です。
Q.水を多く飲めば、eGFRは上がりますか?
A.脱水が原因なら、脱水の改善で数値が戻る場合はあります。ただし、水を無理に多く飲むことはCKDの治療にはならず、むくみや心不全を悪化させることもあります。ご自身に合う水分量を相談しましょう。
Q.腎機能が低下したら、すぐに透析が必要ですか?
A.すぐに透析が必要になるわけではありません。原因や進行度を調べ、生活習慣の改善や薬物治療で進行を抑えることを目指します。進行した段階では、症状・検査結果・生活状況を踏まえて専門医と治療を相談します。
健診で腎機能を指摘された方は伊原医院へご相談ください
腎臓を守る第一歩は、数値を下げる方法を自己流で探すことよりも、現在の状態と原因を知ることです。伊原医院では、腎機能だけでなく血圧や血糖、尿検査、服薬、生活背景も合わせて確認し、一人ひとりに必要な対応を考えます。
新橋・汐留・港区周辺で「クレアチニン高値」「eGFR低値」「尿蛋白」「腎機能低下」を指摘された方は、健診結果票、過去の検査結果、お薬手帳をお持ちのうえご相談ください。家庭血圧の記録や、サプリメントの商品名が分かるものも参考になります。
伊原医院は、東京都港区東新橋1-7-1 汐留メディアタワー地下2階にあります。都営大江戸線「汐留駅」地下2階直結、JR「新橋駅」から徒歩約4分(地上ルート)です。
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本記事は、2026年9月20日時点で確認できる厚生労働省、日本腎臓学会、KDIGOの公開情報を踏まえて作成しています。主に成人の健診後の相談・保存期CKDを対象とした説明で、個々の検査値の解釈や治療方針は診察により異なります。
参考情報
- 日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」(公開されている修正版)
- 日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」
- 日本腎臓学会「慢性腎臓病(CKD)患者の血圧管理に関するステートメント」(2026年6月25日策定)
- 日本腎臓学会「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」(2024年更新)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「CKD/慢性腎臓病」
- 厚生労働省 広報誌「厚生労働」2025年3月号「慢性腎臓病(CKD)ってなぁに?」
- 日本腎臓学会「患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド2024」
- KDIGO「2024 CKD診療ガイドライン」Executive Summary
この記事の監修者

医療法人社団優春会伊原医院 理事長
山下 理比路
- 医師/医学博士
- 日本集中治療医学会 集中治療専門医
- 日本医師会認定 産業医
- 日本内科学会 正会員
- 日本循環器学会 正会員
- 日本医師会「かかりつけ医機能報告制度にかかる研修」修了
